長期修繕計画 見直してみた!分業制に振り回され

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前回#6では、見直し前の長期修繕計画がどのようなものだったかを紹介しました。今回から計画を見直す過程で見えてきたことをお伝えします。

素人が工事項目や金額を見直すのはとても大変です。私たちがまず考えたのは、計画を作成した管理会社に色々教えてもらおうということ。先方の都合のいい日に訪問したいと伝えたところ…

「建築関係は本社で、設備関係は支社でそれぞれの担当が手分けして作っているので、支社に来てもらっても対応できない」

管理会社の中で、しっかり分業しているのですね。仕方がないのでフロントマンと相談し、聞きたいことを大きく9項目にまとめ、質問状の形で送ることにしました。会社としてしっかり対応してほしいとの期待を込めて、あて先は支店長としました。

支店長あての依頼文書
支店長あての依頼文書

【取り寄せて分かった「整備」の内容】

質問のひとつが機械式駐車場に関するものでした。一般に機械式駐車場は設置10年後ぐらいから、ものすごくおカネがかかると言われています。計画では、今後30年間で「整備」に3500万円、「更新」に3600万円、「塗装」に600万円、「排水ポンプ」に100万円で計7800万円。マンション全体の工事費3億2500万円の1/4を占めます。

駐車場の項目で「?」だったのは「整備」。大きな額を計上しながら具体的な内容が全く分かりません。

管理会社の回答は表が1枚。2017年から始まるメーカー作成の資料です。大きく「制御盤」「検知装置」「操作盤」「昇降装置」「安全装置」「その他」「パレット塗装」に分かれていました。「昇降装置」なら「昇降モーター」「駆動チェーン」「吊上げチェーン」などとあり、数量、周期、金額が書かれています。

機械式駐車場のメーカー資料
機械式駐車場のメーカー資料

管理会社作成の計画と突き合わせてみると、この資料どおり。何年かに一度、メーカーから取り寄せて使っているようです。「こういうことにおカネがかかるのか」と納得しつつ、管理組合はこれまで誰も工事内容までは見ていなかったのだな、と痛感しました。

 

【誰も全体を見ていない!?】

さらに見ていくと、おかしなことに気づきました。管理会社作成の修繕計画では、駐車場の「更新」(設備の全交換)が築50年目に設定されていますが、「建物」の「外構」の築51年目に「機械式駐車場 塗装」とあります。

「全面リニューアルの翌年にパレット塗装はあり得ないでしょう!?」。メーカーの資料を確認すると、やはり記載はありません。「建物関係」「設備関係」と分担して修繕計画をつくる中で、修繕周期だけを見て記載したのでしょう。計画全体を見ている人はどこにもいなかったと言えます。

機械式駐車場についてどう考えるかは大きな課題です。次回も駐車場について、今回とは別の角度から見ていきます。(麻生&安田)

※一般に機械式駐車場の寿命は20~30年ですが、立地や日ごろのメンテナンスなどに左右されます。わたしたちのマンションでは単純な上下昇降式なので、長持ちするということでしょうか。

 

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