長期修繕計画 見直してみた!工事項目は奥が深い

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前回#5では、長期修繕計画を見直すにあたって、まず「ビジョン」を固めましょう、というお話をしました。自分たちのマンションを将来どうしたいのか、なるべく長く建物を使うのか建て替えるのか、みなで同じ方向を向いていないと、まとまるものもまとまりませんよね。今回からは、このビジョンを踏まえた「工事計画」についてお伝えします。

 

#4で紹介したように、国交省「長期修繕計画作成ガイドライン」には「こんな感じで作ってくださいね」という標準様式があります。9つの様式に分かれ、マンションの概要、調査・診断の概要など色々あるのですが、長期修繕計画の〝本体〟といえるのが工事項目と金額、いわゆる工事計画です。

 

【もとの計画 じっくり見たら】

 わたしたちのマンションのもともとの計画の実物のイメージは以下の通りです。

もともとの計画のイメージ

項目は大きく「建築」と「設備」に分かれます。さらに細かく建築は「屋根」「外部仕上げ」「内部仕上げ」「外構」「その他」の5項目、設備は「給排水設備」「電気設備」「防災設備」「昇降機設備」「その他」の5項目に分かれ計10項目。「屋根」であれば「屋上防水保護層」などさらに具体的な修繕項目に分かれ「建築」92、「設備」46の計138項目(!)ありました。

標準様式で工事計画にあたるのが、「3-2推定修繕工事項目、修繕周期等の設定内容」「4-4推定修繕工事費内訳書」です。まず「仮設」「建物」「設備」「外構・その他」。「建物」なら「屋根防水」「外壁塗装等」といった具合にそれぞれが細かく分かれ、計19項目※あります。

この19項目は、管理計画認定の認定ポイントになっています。また工事項目に漏れがないかの確認にも役立つので、ぜひ気をつけて見てください。各項目がさらに細かく分かれるのは、わたしたちのマンションの計画と同じで、全部で53項目。補修、修繕、撤去・新設などの「工事区分」ごとに「修繕周期」が設定されています。補修、修繕なら12~15年、撤去・新設なら24~30年という具合です。

 

【標準様式への当てはめ】

当時は管理計画の認定を受けるには標準様式に合わせることが必要との思い込みもあり(実際には同じ形である必要はなく、19項目をカバーしていることがポイント)、計画にあげられていた138項目を標準様式の53項目に当てはめていく作業を始めました。

「ルーフバルコニー床塗膜防水(塗装)」は標準様式の「屋上防水(保護)」と、分かりやすい項目もありましたが、「スパンドレル天井洗浄」(スパンドレルってなに?? うちのマンションのどこについているの??)「外階段天井・段裏塗装」(雨がかり部分? 非雨がかり部分?)と頭を抱えることもしばしば。正直、修繕計画の見直しの中で一番時間がかかったのはこの当てはめ作業です。後々検証できるように、どの項目をどこに分類したかの対照表も作成しました。これを30年分…。

何とかまとめたフォーマットがこれです(金額は省略)。

標準様式にのっとってまとめたフォーマット
標準様式にのっとってまとめたフォーマット

大変な苦労でしたが、この作業を通して「長期修繕計画」の内容を一つ一つ詳しく見ることができました。そして、その過程で見えてきたのは…次回以降で紹介させていただきます!(麻生&安田)

 

※標準様式の19項目

1仮設工事 2屋根防水 3床防水 4外壁塗装等 5鉄部塗装等 6建具・金物等 7共用内部 8給水設備 9排水設備 10ガス設備 11空調・換気設備 12電灯設備等 13情報・通信設備 14消防用設備 15昇降機設備 16立体駐車場設備 17外構・附属施設 18調査・診断、設計、工事監理等費用 19長期修繕計画作成費用

1は「仮設」、2~7は「建物」、8~16は「設備」、17~19は「外構・その他」

 

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