長期修繕計画 見直してみた! 「ビジョン」が重要な理由

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前回のブログで長期修繕計画の大まかな内容を紹介しましたが、イメージはつかんでいただけましたか? 今回から、わたし(麻生)のマンションで長期修繕計画をどのように見直していったのかをお伝えします。

 

「ビジョン」とは?

ブログ#2でも触れましたが、昨年6月の総会で計画見直しに賛同を得た後、特別委員会の委員を公募し、10人の手が挙がりました。「まずは情報共有」のため、70㌻の資料を事前に配り10月、第1回会合にこぎつけました。

主な議題は、以下の通りです。

①委員会の進め方(名称、役割分担、スケジュールなど)
②検討テーマの確認
③「ビジョン」について
④フリートークなど

初回から活発に意見が出され、長期修繕計画以外の関連事項もテーマとして取り上げることを決定。継続的な意見交換の場を設けることや、管理体制の見直しなどについても話が出ました。

議題の中でわたしが最も重要だと考えるのは、③の「ビジョン」です。国交省の「長期修繕計画作成ガイドライン」の第2章「作成の基本的な考え方」の中に「マンションのビジョンの検討」の項目があります。

マンションの現状の性能・機能、調査・診断の結果等を踏まえて、計画期間においてどのような生活環境を望むのか、そのために必要とする建物及び設備の性能・機能等について十分に検討することが必要です(中略)高経年のマンションの場合は…建替えも視野に入れて検討を行うことが望まれます

 

目指すのは延命? 建て替え?

一番分かりやすいのは「なるべく長く建物を使う」、あるいは「将来建て替える」の選択でしょう。わたしたちの場合、委員の中に建え替えを推す意見はありませんでしたが、「住人の意見を聞きながら進める方がよい」との声が大勢を占めました。そこで早い時期にアンケートを行うことにしました。

2、3回目の会合でアンケートの設問を話し合い、12月に回収しました。設問は全部で11項目あり、最初の2つを「ビジョン」に関する内容にしました。

第1問 マンションの将来構想について(3択)
1.できるだけ長く住み続けられるよう維持して行くべき
2.将来は取り壊し、敷地売却、建て替えなどの方向で考えて行くべき
3.なんとも言えない、わからない

第2問 このマンションで生活していくにあたっての「ビジョン」について(5択)
1.それなりの生活ができれば、機能・性能・外観等が経年で劣化して行くのはやむを得ない
2.現状程度の機能・性能、外観等は維持すべきだがアップグレードは不要
3.現状維持だけでなく、ある程度のアップグレードはしていくべき
4.積極的にアップグレードしていくべき
5.何とも言えない。分からない

36戸中、回収率は約9割。賃貸が4戸あることを考えれば、予想以上の手ごたえでした。結果は以下の通りです。

第1問 「できるだけ長く住み続けられるよう維持して行くべき」が26票で圧倒的多数
第2問 「現状程度の機能・性能・外観等は維持すべきだがアップグレードは不要」と「現状維持だけでなく、ある程度のアップグレードはしていくべき」がそれぞれ13票と拮抗

’アンケート画像のサムネイル
アンケートの記述欄にも多くの意見が(一部画像加工)

 

早めのアンケートの効果

今回、計画見直しの検討を始めるにあたって、管理会社作成の〝赤字〟計画を見ながらまず思ったことがあります。30年後には築52年となるマンションに「あと何年住むのか?」「建物は何年もつのか?」。延命か建て替えかにより、計画は大きく変わるはずです。早めに意思統一しておくことが必要です。

あるマンションでは、有志内の話し合いで建て替えの方向でまとまっていたのに、途中参加のメンバーの強い主張で議論が振り出しに戻ってしまったそうです。住民が色々な意見・個性の集まりであることは、マンションの強みでもありますが、時には弱みにもなります。

アンケートは、委員以外の意見を把握するほか〝根回し〟の効果もあると思います。ある程度結論が見えてきた時点で意見を求められても、「聞いてないよ」と反発する人もいるでしょう。幅広く住民の声を聞きながら進めることで、議論が無駄になる可能性を減らすことができるのではないでしょうか。

わたしたちの委員会では、アンケートで「延命」の方向性がはっきりし、その後の工事内容の検討が格段に進めやすくなりました。臨時総会でのスムーズな計画承認にもつながったと思います。長期修繕計画を見直すにせよ新たにつくるにせよ、まず管理組合の「ビジョン」を明確にすること、そのためにアンケートを活用することはおススメです。

 

次回からは具体的な工事項目を見ていきます。(麻生&安田)

 

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