長期修繕計画 見直してみた!工事・収支内容に注目

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今回は、「そもそも長期修繕計画ってどんなもの?」かについてお話しします。

 

長期修繕計画はある? 見直しは?
最初に質問です。あなたのマンションの現状は

1.長期修繕計画がない
2.計画はあるが、長年見直していない
3.見直しはしているが、将来は赤字で対策がない
4.見直しをしており、修繕積立金を段階的に値上げまたは一時金を徴収することになっている
5.見直しをしており、不足時は借り入れをすることになっている
6.見直しをしており、期間中ずっと黒字をキープできている

昨年公表された名古屋市の調査では、長期修繕計画が「ある」は70.9%、「ない」が19.6%、「不明・無回答」が9.5%でした。建築年が古いほど「ある」の割合が下がり、1970(昭和45)年以前のマンションでは53.1%しかありません。

戸建てでもそうですが、マンションは特に経年によりおカネがかかるようになります。エレベーター、機械式駐車場はもちろん、給排水管、屋根やバルコニーの防水、外壁の塗り替えやタイルの貼り替えなど、それぞれ大きな費用が必要です。

いざという時に「おカネがないから工事ができない」「急におカネを集めるなんて、とても総会で承認されない」とならないように、長期的にどのくらい費用がかかるのか把握し、足りなければどうするのか対策を立てて実行していく。その第一歩が長期修繕計画です。マンションでの快適な生活を維持して行くには絶対欠かせません。

上記の質問への答えが1~4の場合は新規に作成か見直しを、5または6の場合は内容をよく見て本当に大丈夫か確認することをおすすめします。

 

最低限必要な10項目
では、今回の本題です。
長期修繕計画の中身は大きく三つ。①現状②工事計画③資金計画、です。それをどうまとめるか、以下は国交省の「長期修繕計画作成ガイドライン(以下「GL」)の「標準様式」です。
https://www.mlit.go.jp/common/001172730.pdf

9つのフォーマット(様式)に分かれています(中高層の単棟型を想定)。

1.マンションの建物・設備の概要
2.調査・診断の概要
3-1.長期修繕計画の作成・修繕積立金の額の設定の考え方
3-2. 推定修繕工事項目、修繕周期等の設定内容
4-1. 長期修繕計括表
4-2. 収支計画グラフ
4-3. 長期修繕計画表(推定修繕工事項目別・年度別)
4-4. 推定修繕工事費内訳書
5.修繕積立金の額の設定

記載例では合計17ページ。「そんなに多いの?!」 ちょっとびっくりですね。でもご心配なく。

管理計画認定制度のブログで触れましたが、標準様式の考え方に基づいて作成すれば同じ様式でなくても大丈夫。最低限必要なのは以下の10項目です。

①修繕工事の内容 ②概算費用 ③おおよその実施時期 ④修繕積立金の月当たり㎡単価 ⑤期間30年以上 ⑥大規模修繕工事が2回以上 ⑦期間当初の修繕積立金残高 ⑧期間内に集める修繕積立金の総額 ⑨同 専用使用料等からの繰入額の総額 ⑩借り入れの状況

私のマンションの場合、計画は全部で6ページ(大手管理会社作成。多くのマンションも同様)。ちゃんと10項目をカバーしています。すでに長期修繕計画がある場合、必ずしも様式を変える必要はありません。大事なのは工事や資金計画の内容をしっかり見ること、おかしなところは修正し、必要に応じて修繕積立金の値上げなどの提案を行うことです。

私のマンションでは管理会社作成の計画についてこの二十数年、大赤字にもかかわらず一度も詳しく内容を見たことがありませんでした(反省)。あなたのマンションではどうでしょうか。

計画作成の考え方、手順についてはGLが大いに参考になります。一から作成する場合、自力で取り組むならGLのフォーマットを利用するのが便利だと思います。難しすぎたり詳しすぎたりするところは、修正したり省いたりしてもいいでしょう。

次回以降、見直しの実例をお話ししていきます。(麻生&安田)

 

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