長期修繕計画の3回目は「修繕積立金はいくらが適当なのか?」です。
「いいね!」ポイントを見てみましょう。
⑤長期修繕計画の計画期間全体での修繕積立金の総額から算定された修繕積立金の平均額が著しく低額でないこと。
⑥長期修繕計画の計画期間の最終年度において、借入金の残高のない長期修繕計画となっていること。
安すぎる修繕積立金はダメですよ、ということなのですが、具体的には
「修繕積立金に関するガイドライン」(最終改正 令和3年9月)※の下限値を上回っている必要があります。
ちなみに改正によって金額はだいぶん引き上げられています…。
※国交省ホームページ⇒住宅・建築⇒マンション政策⇒マンション管理について
ガイドラインでは、マンションの建築延床面積・階数によって5つの目安が示されています。
また機械式駐車場がある場合は、種類によって決められた加算が必要です。
当会のキャラクター「元気マンション」(え、知らない?)が暮らすマンションで計算してみましょう。
【元気マンションの概要】
■建物の階数・住棟形式:地上8階建・単棟型
■建築延床面積:3300㎡
■総専有床面積:3000㎡(40戸)=(A)
■機械式駐車場3段(ピット2段):30台分
■長期修繕計画の期間:30年(360月)=(B)
■期間中の修繕積立金平均額:月12000円(1戸)
全戸で月48万円、30年で1億7280万円=(C)
■期間当初の修繕積立金残高:4000万円=(D)
■駐車場・専用使用料から修繕積立金への繰入額:年350万円(30年で1億500万円)=(E)
ガイドラインを見ていきます。
「20階未満5000㎡未満」なので、専有床面積当たりの修繕積立金は月235円〜430円/㎡
機械式駐車場の加算も忘れず計算します。1台あたりの修繕工事費は月5840円/台
計算式は5840円×30台÷(A)=58円/㎡
このマンションの下限値は235円+58円=293円になります。
一方、現在の月当たりの修繕積立金は、48万円÷3000㎡=160円/㎡…??
全然足りないじゃん!!
これは早とちり。
「修繕積立金の平均額」は、毎月集めている額だけでなく積立金残高や駐車場使用料などからの繰入額も含みます。
「(C)+(D)+(E)」÷「(A)×(B)」
=「1億7280万円+4000万円+1億500万円」÷「3000㎡×360月」
=294円/㎡ …なんとか下限の293円を超えました(ほっ)。
実は、下限額を下回っても「専門家(マンション管理士、建築士)からの修繕積立金の平均額が著しく低額でない特段の理由がある旨の理由書」を提出することで救済されることもあります。
○年後に建て替える方向で検討中、給排水管の一斉更新を済ませたばかり、などが例示されていますので「認定は無理」と諦める前に専門家に相談してはいかがでしょうか。
長期修繕計画に関わるお話はここまで。次回は住人の名簿づくりなどについてです。(麻生&安田)