今回から3回に分けて、「長期修繕計画」のお話です。管理計画認定基準の17項目中、6項目が長期修繕計画に関するものです。認定制度は管理が不十分な老朽化マンションの問題がそもそもの始まりですから、まさに「本丸」とも言えます。さっそく見ていきましょう。
①長期修繕計画が「長期修繕計画標準様式」に準拠し作成され、長期修繕計画の内容及びこれに基づき算定された修繕積立金額について集会にて決議されていること。
皆さんのマンションには長期修繕計画がありますか?
「うちはこじんまりとしているし、修繕積立金はちゃんと集めているから必要ないよ」
そんな声も聞こえてきそうですが、本当に大丈夫でしょうか。建物や設備は適切な時期に修繕工事を行う必要がありますが、費用の一括徴収は住民にとって大きな負担です。もし費用不足で必要な工事が行えなければ、後々さらに大きな負担が発生する恐れがあります。そのようなことがないように将来の工事を予想し、月々の積立金を設定するのに長期修繕計画は欠かせません。計画作成を「管理組合の業務」「総会の議決事項」として管理規約にきちんと位置づけておきましょう。
計画は「長期修繕計画標準様式に準拠」とされています。標準様式は国交省のホームページからアクセスでき、第1号から第5号まで計9つのフォーマットが定められています。
「わー、大変。うちの計画はそんなに詳しくないよ!」
…まったく同じ様式である必要はありません。以下の10項目が盛り込まれていれば大丈夫です。
①修繕工事の内容②概算費用③おおよその実施時期④修繕積立金の月当たり㎡単価⑤期間30年以上⑥大規模修繕工事が2回以上⑦期間当初の修繕積立金残高⑧期間内に集める修繕積立金の総額⑨同 専用使用料等からの繰入額の総額⑩借入れの状況
修繕工事は仮設、屋根防水、給水設備など19項目あります。マンションによっては立体駐車場がないなど、すべてが該当するとは限りませんが、洩れがないか確認しましょう。
長期修繕計画とそれに基づく修繕積立金額は、「集会(=総会)」で決議されていなくてはなりません。修繕積立金はそのままでも、長期修繕計画を見直した時は、その都度総会にかける必要があります。(麻生&安田)